Then & Now生デの今昔

プレ支部展《憩う》の報告

2025年8月29日~31日/ギャラリータカオ

熱中症警戒アラートが発令された残暑の中、『生デの会』初の試みプレ支部展《憩う》が開催されました。ギャラリーが空いている時期の8月末を選び、きっと暑いだろうなと思ったものの、まぁ真夏のピークは過ぎているだろうと楽観していた真冬の打ち合わせの日は遠い昔のことの様です。

【出展リストこちら】

支部展では、会員へ出展を募り展示作品を広く集めますが、今回の作品の半分は、かつて生活デザイン学科で教鞭をふるっていた先生達の作品をお借りしました。それも本業ではなく、編集者の版画、インテリアデザイナーの水彩画、プロダクトデザイナーの活版印刷物などです。どの作品も「うまいなぁ」と唸ってしまう名品です。また、現役引退後に執筆した書籍も展示しました。研究を続けるその姿に感銘を覚えます。

そして、作品をお借りするために訪れた酒井道夫先生と泉修二先生のお宅で、眠っていた高見堅志郎先生の回文集と芳武茂介先生の「きのこ文様」の八角皿に巡り合うことができました。

会場で、この八角皿をディスプレイしてくれたのは、先のワークショップでフラワーアレンジメント講師を務めてくれた南雲信子さんです。ひょうたんと草花に囲まれた斬新な装いが目を引きました。最終日には、泉先生のご家族が営むお店[※1]の焼き菓子が美味しそうに盛り付けられました。これぞ《用の美》だと、芳武先生も天国で褒めてくださっていることでしょう。八角皿は、タイ料理教室[※2]を開催している卒業生の松橋有希子さんに譲渡することとなりました。異国料理が美しく盛られた姿も見てみたいものです。

[※1]喫茶店/Pomme

東京都世田谷区南烏山5-25-3

https://www.instagram.com

[※2]タイ料理教室/Sur la Table 

詳細は当サイト、Contactページからお問い合わせください。

卒業生の出展については、これまでに『生デの会』と関わってくれた人達に声を掛けました。この日のために一から制作した作品も多くありました。普段の生活や仕事を抱えながら、モノを作ることは容易ではありません。快く作品を出展してくれた卒業生8名の皆さんへは、感謝と尊敬の気持ちでいっぱいです。

会場に並んだ作品のバラエティー豊かなこと。どうやって作ったのだろうと近づいて見入ってしまうテキスタイルの立体作品、緻密な技巧が施されている製本、泉先生と網戸先生を師と仰ぎ描きためた水彩画、色鮮やかなデコレーションを纏ったコラージュ、趣向を凝らした半立体作品。現役ムサビ通信生は課題から発展した版画、仕事を超えて今なお考現学を追求し続ける猫おどりの大パネル、何でもこなす美しい仕事の数々。

いろんな方向性の作品が一同に集まりました。それにも関わらず、いい感じの雰囲気に仕上がったのは、ギャラリータカオの持つ空間の奥深さのおかげでしょう。オーナーの高尾裕子さんが、いつでも寛容に対応してくだったことに、心より感謝申し上げます。

芳名帳には57人の記名がありました。お越しいただきありがとうございました。当日の様子は、この後の写真でお届けします。「次回は作品を展示したい!」とモノ作りに触手が動いた方、どうぞContactページへのご連絡をお願いします。

最後に、大西慶憲先生が2025年5月に出版した書籍『心』からの引用で締めたいと思います。この本は大西先生から私たち卒業生に宛てた手紙だと序文にあり、結びに手書きでこう綴られていました。

「人生はすばらしいです」


プレ支部展三日間の模様

横溝先生がこの日のために作ってくださった名刺